どのような職場であろうと安全は不可欠なものですが、重産物、重機、鋭器を扱う製材業では特に注意が必要です。
フィンランドにはUPM Timberの製材工場が4か所あり、これらの製材工場では、毎年、数百人の従業員が大量の北欧産アカマツおよびスプルースを、レッドウッドやホワイトウッドの木材に加工しています。
UPM Timberの新しい安全およびセキュリティマネージャー、Olli Oikariは、8月に着任し、現在重要な任務を果たすために、鮮やかな黄色の安全ベストを着て、フィンランド南東部のラッペーンランタにあるカウカス製材工場のデスクに座っています。各製材工場に配置されている安全マネージャー間の調整がOlli Oikariの任務です。これらの製材工場で事故が発生する頻度は低いものの、この業界にはリスクがつきものであるとOikariは言います。「あらゆる事故を防ぐために、できることはすべてやるのが私たちの責任です。」
おがくずとウッドチップ
まず、製材工場では常にすべての人が安全具の着用が必須となっています。鮮やかな色の安全ベストやジャケット、耳栓やイヤーマフ、特別な手袋と安全靴、ヘルメットと保護眼鏡などです。
製材工場は複数の階層で構成されているので、階段がたくさんあります。これについてOikariは次のように述べます。「従業員は1日に何十回も階段を上り下りします。滑ったり落下したりする事故を防ぐために、おがくずやチップなどの原料を掃除して通路を常にきれいな状態に保つことが必要です。そのためには常に注意を払いながら働く必要があります。
また、丸太を製材するために使用する帯鋸の歯を変える際には、特に細心の注意を払い、安全ベルトを着用することも必要です。各シフトで、このように大きくて重い工具(長さ6 m、重量20kg)を何度も変えて、刃を研ぐなどの保守作業を行う必要があります。
丸太や木材を移動するフォークリストやホイールローダーも別のリスクをもたらします。「もちろん、当社の従業員には歩行者専用ラインを設けていますが、それでもなお重機には常に注意を払う必要があります。」
定期的に安全検査を実施し、各製材工場が円滑に運営されるようにしています。
新しいスタッフ
Oikariと彼のチームには課題がもう一つあります。それは、現在、毎年約10%のスタッフが定年を迎え退職していくという事実です。スタッフの交代と育成が必要なのです。「新しい従業員には質の高い製品の生産方法に加え、製材工場の業務を安全に行う方法も教えなければなりません。」
Oikariと彼のチームは各業務のリスクを定期的に評価しています。「リスクを明確に定義して、口頭でも書面でも従業員に伝える必要があります。すべての人がリスクを認識し、正しい判断、態度、考え方、行動ができるようにすることが重要です。」とOikariは強調します。
頻度の低い業務は特に注意が必要です。「食料品を買いに出かけるときに、買うものを7つ思い浮かべて家を出たが、メモしていなかったため、結局そのうち5つしか思い出せなかったといったことはよくあります。慣れない業務を始める前のリスク評価も同様です。だからこそ簡潔なリスク評価チェックリストが必要なのです。」
安全器具にはわかりやすい印を付ける必要があります。場合によっては色分けも必要です。
安全文化
安全マネージャーはリスクについて日々スタッフに伝えようと努めています。「たとえば、今週の月曜日には15分間生産を止めて、転落や滑る危険について話をしました。」さまざまなトピックスで定期的に安全に関する話をするほか、落下保護具やチェーンソーの使い方などの専門的な安全トレーニングも実施しています。もちろん、多くの従業員が応急処置の資格を持ち、消火器の使い方も知っています。
UPM Timberはさらに、現在の標準に合わせて安全技術を更新することで工場の安全向上に継続的に取り組んでいます。たとえば、従業員と来訪者が危険区域に立ち入ることを防ぐフェンスや光線を追加しています。しかし、Oikariは言います。「たとえ1か所の製材工場に3,000万ユーロを投資したとしても、それでもなお、すべての細部に常に注意を払うことが必要なのです。」
今年の11月に、UPM Timber はISO 45001労働安全衛生の取得申請を行いました。Oikariは次のように述べています。「当社は、安全管理に関して長年の実績があります。作業が必要となり、修正すべき箇所もいくつかあるとは思いますが、取得する自信があります。」
2021年の展望
Oikariの目標は、2021年に製材工場の安全文化をさらに向上させることです。「当社は、安全指示の構成をシンプルにして、妥当な場合は製材工場固有の安全指示からUPM Timber共通の指示へと変更する計画です。これにより、安全指示がユーザーにとって利用しやすいものとなり、常に最新の状態に維持されるようになります。これは当社のすべてのサイトで最善の安全手法が実施されるようにするために重要なことです。また、自然な継続的プロセスとして安全期間を確立することも必要です。ブルーカラーの安全主任を設けて、安全への取り組みに従業員が積極的に参加できるような大幅な改善を行うことも効果的だと思います。」
一般的に、何かいつもと違う事態が生じたときや、従業員がストレスにさらされたり、慌てたりするときに事故が発生するとOikariは言います。「重大な局面で従業員が必ず安全ルールを思い出し、それを守るようにすることが必要です。当社のように厳しい環境では、すべての人が安全確保に努めなければ作業は安全なものとはなりません。」
文:Thessa Lageman
写真:UPM TimberのAnnika Vesterinen