成長中の森林は炭素吸収源
樹木が光合成するためには、光、水、二酸化炭素が必要です。その結果、樹木や植物は酸素を作り出し、大気から二酸化炭素を吸収します。森林が炭素吸収源だというのは、森林が成長するのに伴い、大気中の二酸化炭素を樹木や土壌に貯蔵するからです。
一方、樹木は炭素の発生源でもあります。樹木が腐敗すると、炭素を二酸化炭素として大気中に排出します。森林伐採でも大気中に炭素が排出されますが、再生された1ヘクタールの森林は約17年後に炭素吸収源として機能し始めます。再び放出分を吸収するようになり、そのライフサイクルを通じて炭素吸収源の役割を果たします。
フィンランドの森林の炭素吸収の規模はこの数十年で変化はあるものの、平均してフィンランドの年間総排出量の30~60%を吸収しています(mmm.fi)。
フィンランドの森林の伐採量は年間約7,000万立方メートル(luke.fi)で、森林の増加量は年間約1億700万立法メートルです。年間の自然な減少分を含めても、森林の増加率が伐採率を上回る限り、フィンランドの森林は炭素吸収源であり続けます。
炭素吸収源から炭素貯蔵庫へ
森林は成長が止まった後も、炭素貯蔵庫の役目を果たします。この炭素貯蔵庫は、森の樹木や土壌が炭素を吸収することで形成され、これにより大気中に炭素が放出されません。森林は成長するに従い、炭素吸収源と炭素貯蔵庫の両方の役目を果たします。
フィンランドでは森林の利用を増やしてきましたが、伐採量が増加量を下回っているため、森林の炭素貯蔵量はこの数十年で増え続けています。地球温暖化の影響で、フィンランドの森林の炭素貯蔵量は2050年までに最大17%増加すると見込まれています(metsakeskus.fi)。
木や木質材料から作られる製品も、そのライフサイクルを通じて炭素を貯蔵し、長期間にわたって炭素貯蔵庫の役目を果たします。木造建築物はその一例です。一方、短期の炭素貯蔵庫には、牛乳パックなどの紙製品があります。
木材の利用を増やして化石燃料による排出に対処
気候変動の根本原因は、石油、石炭、天然ガスなど化石燃料の使用による炭素の排出です。木質由来の製品が、化石燃料由来の製品に取って代われば、1立方メートルの木材が大気中の二酸化炭素を約2トン削減します。
木材は化石燃料からの二酸化炭素排出量を長期にわたり削減するため、持続可能なエネルギー生産にも使用できます。木を燃やすことによっても二酸化炭素は排出されますが、それらは最終的に植物や生木に吸収されます。一方、伐採で出る残留物や切り株を放置していると、それらが腐敗し、数十年にわたって炭素が排出されます。
情報源:
フィンランド自然資源研究所(LUKE)、luke.fi
林業センター(Metsäkeskus)、metsakeskus.fi
農林省(Ministry of Agriculture and Forestry)、mmm.fi