循環経済の推進に向けたUPMの取り組み

Story 31.10.2019 9:00 EET

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先日開催された国連気候変動サミットでは、各国の企業による事業およびバリューチェーン全体における持続可能性の目標への意欲的な取り組みが紹介されました。Zero Solid Waste(廃棄物ゼロ)プロジェクトの一環としてのUPM TimberとUPM Plywoodの取り組みは、企業が気候変動との闘いにおいて前向きな姿勢を示している好例です。

 

2年前、UPM TimberとUPM Plywoodのフィンランド工場は、UPM事業部門の先陣を切ってZero Solid Wasteプロジェクトのリサイクル目標を達成しました。UPM TimberとUPM Plywoodはこの最初の目標を達成したのち、他の部門とともに、2030年までにZero Solid Waste to Landfill(埋立地への固形廃棄物をゼロにする)を達成することを目指しています。これにより今後11年間は埋立地に廃棄したり、エネルギーの再利用なく廃棄物を焼却したりしないことを意味します。この意欲的な目標を達成するために、両事業では革新的な新しいテクノロジーを活用し、廃棄物の収集と再利用を改善して真の循環経済を作り出していきます。

 

原材料の100%有効活用

UPMでは、今から数年前、すべての原材料を活用するというアイデアを推進しました。

「原材料の98%以上をプロセスで利用し、残りの2%を新しい技術革新に使用するよう努めています」と、UPMの循環経済および産業ソリューション担当ディレクター、Pekka Ståhlbergは説明します。

再生可能木材の効率的な使用は、UPMの事業の根幹を成しています。UPMとその各部門では、ほとんどの生産廃棄物を再利用またはリサイクルし、それを原材料またはエネルギー生産に使用しています。これが特に重要なのは木材製品です。

「原木の大部分は、もちろん、挽き材として使用されますが、残りの部分は高品質の原材料に加工され、チップはパルプに、おがくずはパルプとペレットに、樹皮はエネルギー生産用に焼却され、ごく一部は造園業に使われます」と、UPM Timberのメンテナンスプロジェクトマネージャー、Mika Lampolaは説明します。

このようなアプローチがもたらす環境保全上の利点はきわめて明白であり、循環経済によってカーボンフットプリントを本質的に削減できます。さらに、ビジネス上の利点もあります。「革新的な製品に廃棄物や残留物を再利用することは、競争力向上の手段でもあります」と、Ståhlbergは述べています。

 

廃棄物ゼロを目指して

UPM TimberとUPM Plywoodは、2030年までに埋立地に廃棄しない、エネルギーの再利用なく廃棄物を焼却しないというUPMの目標を達成するための取り組みに着手しました。さらに、そこで満足するのではなく、基準を達成するためのより効率的で新しい方法を探し続けています。基本的に、その戦略はMore with Bioforeと呼ばれるシンプルなものです。循環経済の実現が最終的な目標であり、UPMではこれを持続可能な未来への土台と考えています。

UPMが真の循環経済を追求する過程で新たなテクノロジーが生まれているのは刺激的なことです。Ståhlbergは、工業バイオテクノロジー、3Dプリント、効率的なエネルギー技術を「革新的な製品やソリューションを生み出すためのツール」として挙げています。これらの技術により、UPMは会社の利害関係者と社会全体の双方に、経済的、社会的、環境的な価値を生み出すことができます。

言うまでもなく、真の循環経済の実現には、廃棄物を収集して、それらを再生することも必要です。この目標に向けて、「収集地点での廃棄物の仕分けにあらゆる努力が払われており、仕分けされた廃棄物のそれぞれを適切な原材料に加工するパートナーがいる」と、Lampolaは説明しています。段ボール、プラスチック、紙、金属、ケーブル、ガラス、有害廃棄物など、直接使用に適した資材には、個別に収集用ごみ箱が用意されています。

UPMが掲げる埋立地への廃棄をゼロにするという目標の達成状況は、全社的にはおよそ半分程度ですが、UPM Timberはすでにこの意欲的な目標を達成しています。UPM Timberでは、基準を満たすためのより革新的な方法で取り組みを続けているため、今後も長きにわたって廃棄物ゼロの活動を続けていく見通しです。ただし、「収集された原材料を商業的に実用化し、直接販売できる場所」を見つけることは、特に価格面や用途を考えると難しいと、Lampolaは説明しています。

そのように、まだ解決すべき課題はあるものの、UPM TimberとUPM Plywoodが事業全体のあらゆる点で廃棄物を削減するために進めた取り組みには勇気づけられます。最終的に、UPMがZero Solid Waste to Landfill企業になるという目標を達成すれば、「埋立地に廃棄することはなくなり、エネルギーの再利用なく廃棄物を焼却することもなくなるだろう」と、Ståhlbergは語ります。

 

将来にとって不可欠なこと

昨今の気候変動に関するニュースを見ても、企業が環境に配慮した責任ある実践と目標を受け入れることが喫緊の課題であることがわかります。2019年9月23日に開かれた国連気候行動サミットの参加者は、気候変動に対する行動をすぐにでも加速させる必要があるという認識の高まりを示しました。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は、サミットの閉会の挨拶で、国と企業の両方に具体的な計画の策定を求めました。そして、次のように警告しました。「私たちには、より多くの国とより多くの企業による、より具体的な計画、より意欲的な取り組みが必要です。そして、環境に優しい経済の実現を目指すには、今こそ、国営や民間を問わず、あらゆる金融機関による協力が必要です」

 

著者:Lorelei Yang