UPM Timberでは、営業スタッフがフィンランド国内の製材工場の生産工程について理解を深められるよう、2年間にわたるトレーニングを実施しています。このトレーニングによって、UPMは競合他社より優位な地位を築くことに成功しています。
UPM Timberの営業スタッフ全員が世界各地からフィンランドの首都に集められ、450 km北上した製材工場に向かい、1週間におよぶ実地訓練を受けます。このトレーニングは生産工程をより深く理解できるよう計画されており、お客様にプロとして効果的にサービスを提供するというセールスチームの目標を達成するのに役立ちます。
UPM Timberは、生産工程だけでなく、経済やレポート作成、ITスキルなどのコースも提供するトレーニングに投資することで、業界ナンバーワンの選択肢になることを目指しています。UPM Timberは、2019年春に始まったこの2年間のプログラムに多額の投資をしていますが、その成果はすでに表れ始めています。
貴重な時間をともに過ごす
「UPMは日頃から従業員にトレーニングプログラムに参加するよう呼びかけています。しかし、これほど長期にわたるトレーニングを企画するのは初めてでした」と語るのは、UPM Japanの販売チームの責任者で、このプログラムの企画責任者でもある坂下諭志です。
昨年秋、実地での技術トレーニングが2回予定され、その1回目がフィンランドのピエタルサーリにあるAlholma製材工場で開催されました。アジアやヨーロッパの営業所から営業スタッフが集まり、5日間にわたり交代で工場の生産の流れを学び、スタッフから有益な知識を得たり、生産マネージャーと対面で交流したりしました。
UPMに11年間勤続している中央ヨーロッパ市場向け営業部長のJukka Fehrは、製材工場のスタッフと直接やり取りできる機会が増えたことがこれまでのトレーニングと大きく異なる点だったと述べています。「一緒に時間を過ごすことは貴重な体験です。この機会がなければメールや電話でしかやり取りできません。その点で個人的な交流は特別で新鮮な出来事でした」
参加者は、1週間かけて、原木測定や製材理論・生産、納期・保管管理などの重要プロセスをすべて体験しました。Fehrが驚いたのは、製材工場のプレートが毎日手動で交換されていることや、トラックのフラットワゴンがキルン室に手押しで運ばれていることなど、昔ながらのやり方が残っていることでした。
「トレーニングは過密スケジュールではないため、メールのチェックや電話連絡など、自分の日常業務を行う時間も十分ありました。ほかの参加者とも交流できました。夜は、皆でサウナに行ったり、夕食を取ったりしました」とFehrは楽しそうに振り返りました。「フレンドリーで居心地の良い雰囲気に満ちていました。製材工場の同僚たちとは特に仲良くなりました。彼らは私たちが快適に過ごせるようにあらゆる努力をしてくれました」
現在UPMでは、会計報告書や比率分析に関する知識を深めるための各国向け財務研修や、既存プログラムの操作を習得するIT研修などの要素もプログラムに追加しようと取り組んでいます。さらに、次の四半期には新しい生産計画ツールも導入する予定です。
世界各地に広がる販売拠点
「UPMは非常に明確な目標を設定しています」とUPMに18年間勤務する坂下は話します。「当社では『フル稼働体制』の実現を目指しています。生産能力をフルに発揮しつつ、市場にフルボリュームを販売するということです。この目標を達成するためには、お客様に最もふさわしいソリューションを提供し、お客様にとってナンバーワンの選択肢になる必要があります。トレーニングプログラムでの体験は、この実現に役立つものと考えています」
セールスチーム同士の双方向のコミュニケーションが改善されていることを坂下は感じています。「私たちは、それぞれ違う場所や市場で仕事をしているため、互いに助け合う機会がほとんどありません。技術トレーニングはお互いを知る良いチャンスでした。仕事で聞きたいことがあれば、ドイツやイギリスの販売担当者に簡単に電話して聞くことができるようになりました」
Fehrは、ドイツに戻った後、製材工場の技術や物流の問題について詳しく理解し、工場スタッフがどのように計画・生産・キルン乾燥を行っているか把握できるようになったと実感しています。彼は、新たに身につけた知識のおかげで、UPM Timberのお客様に最適なソリューションを提供し、製材販売の価値を最大限に引き出せるようになるでしょう。
販売の専門家育成に投資を行うというUPMの意思は、あらゆる市場のお客様にとってナンバーワンの選択肢になるという戦略を支えています。最後に坂下は、このトレーニングプログラムによってセールスチームは今までより優れた販売活動を展開し、UPM Timberと競合他社との差別化につながる付加価値をお客様に提供できるようになると締めくくりました。
文:Asa Butcher
写真:Jukka Fehr(UPM)